断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日もタロー君と採集へ。いつもと同じPalos Forest Reserveに行く。専門の好蟻性昆虫はほとんど完全に終わってしまったので、これからは遊びの採集と運動不足解消のための山歩きを目的とする。

10:15に現地のバスを降りる。前回あまり採れなかったタマムシを最初の目標とし、いつもとは違うバス停で降り、まずは前回採れた倒木へ向かうことにした。今日の最高気温は35℃。すでにそれくらいはありそうだ。途中、日本のとはまるきり色の違うウマノオバチの仲間を見たが、網を振り逃がしてしまった。セミは終わりに近づいているようで、地面には累々と屍が横たわっている。

バス停から1時間歩き、ようやくタマムシの倒木へ到着。いるわいるわ、ものすごい数。しかしすばしっこくてなかなか採れない。交尾しているものや産卵している個体もいた。すべて日本のムツボシタマムシと同属のChrysobothris sp.であるが、アメリカだけで同属種が100種以上おり、同定は難しそうだ。炎天下、30頭くらい採ったところで暑さに参り、フラフラと来た。。

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しゃがみこむとツノゼミがいた。すごい形。アリが随伴していた。右側のは子供。Entylia carinata

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タロー君を置いて、前回ハナカミキリが集まっていたマーガレットの群落へ行く。しかし、あまりの暑さのためか、ほとんどカミキリが見つからない。見つけても花の裏にぶらさがっており、明らかに直射日光を避けているようだった。

立ち枯れにガータースネークThamnophis sirtalisを見つけた。非常に気が荒く、何度もカメラのレンズに噛み付いてきた。しかし、小型で太短く、なかなかかわいらしいヘビである。

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ここ10日間ほど全く雨が降っていないので、林全体にとても乾いている。しばらく歩くと、たわわに実ったクワの木を見つたので、黒く熟した実を食べてみたが、あまりの甘さに驚いた。地面を見ると、アライグマだろうか、クワの種がぎっしりと詰まった糞を見かける。

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空が急に曇り始め、雷が鳴りはじめた。少し涼しくなったからか、マーガレットの花にも虫の影が増え始め、いろいろなカミキリが目についた。日本のブチヒゲハナカミキリやコヨツスジハナカミキリにそっくりなものもいる。写真の種はStrangalia luteicornisといい、日本のコウヤホソハナカミキリに近いものだろうか。

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今日の次なる目的は日本のフタコブルリハナカミキリと同属のStenocorus schaumii。前々回に採集してここに書いたところ、すぐにクレクレメールが来てしまった。しかし相当に採りにくく、花には明らかに来ないし、倒木にも来ない。今まで2人で3頭採ったが、どれも漠然と葉の上の止まってるのを偶然見つけただけである。とりあえず採った場所をまわってみることにする。

葉上を見て歩くと、ジョウカイやホタルの仲間が多い。DNA用の標本を頼まれているので、ちょうどよい。また、ツノゼミ多様性がやはりすばらしい。南米に来たのかと思わず錯覚してしまう。根室帯広と同じような気候の場所とは思えない。Telamona unicolorEnchenopa viburni

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3時間ほど歩き回り、Stenocorus schaumiiをようやく1頭を採集した。タロー君も1頭。厳しい虫である。

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夕方近くなり、地面すれすれを飛んでいるハナカミキリを複数採集した。Strangalepta abbreviataというらしい。日本産種では近いものが思い浮かばない。

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また、午前中に見逃した尾の長いハチが産卵しているのを見つけた。ウマノオバチだと思い込んでいたが、ヒメバチ科である。産卵管がなかなか抜けずに困ったが、どうにか採集できた。後から調べたところ、Megarhyssa atrataという種とわかった。ウマノオバチ同様、飛ぶときは長い産卵管を重そうに引きずる。

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帰り道にシカの死体を見つける。すでにウジに分解され、肉は一切残っていないが、乾燥のために毛皮がきれいに残っており、一見死んだばかりのように思えた。次回はこれを森へ運び、コブスジコガネを狙いたい。

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机に向かうばかりの生活では良い運動になるし、遊びで虫を採るというのは楽しい。来週末も晴れたら行こうと思う。

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