断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

糞ふんフンの話。食事中の方は食後30分以上経ってから見てください。


糞虫といえば、多くの人は、古代エジプトでは神聖化され、ファーブルの観察でも有名なスカラベScarabaeus spp.)を思い浮かべるだろう。そして虫が好きな人であれば誰しもその糞玉を転がす姿に憧れるかもしれない。しかし、残念ながら日本にはそのような虫はいない(正確にはマメダルマコガネというミジンコみたいな虫がそういう行動をとる)。

世界を見渡すと、ある程度の面積のある温帯の国で、そういう虫がいないのは日本だけのようだ。スカラベの同属種はユーラシアの大部分におり、日本の近隣では朝鮮半島まで分布する。また台湾には別属の似たものがいる。アメリカにはまったく別の属群で糞を転がすものがいる。「日本だけに欠けている」というのは日本の地理や環境の特異性を示すもので、それはそれで面白いのだが、ちょっとさみしい。

写真はParagymnopleurusという属の一種で、同属種は東南アジアに広く分布する。GombakではタイワンダイコクコガネCatharsius molossusと並んでもっとも普通な大型糞虫で、野外でコトをいたすとすぐさま飛んできてくれる愛しい虫である。この玉はこの後、転がして地面に埋められてそのまま食べられてしまうか、卵を産み付けられて幼虫のゆりかごとなる。小松君の写真から。

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