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岩崎卓爾にちなんでイワサキコノハDichrochalia bisaltide。裏面を木の葉に擬態したタテハチョウの仲間で、日本では迷蝶といしてたまに飛来する。岩崎卓爾が最初に日本で見つけたことから、和名にその名を冠している。このようなチョウをその時代に採集していたとはすごいことである。
ところでこのチョウ、木の葉に擬態しているくせに、よく見ると目玉模様のようなものがついている。目玉模様といえば捕食者を驚かせる効果があることが知られ、一見、隠蔽的な擬態とは矛盾するように思える。しかしこの目玉模様は小鳥を驚かす目玉のようにはっきりせず、枯れ葉の虫食いに見立てているように見える。蝶の斑紋形成にはさまざまな変化があって興味深いが、同じ模様が色と状況に応じて対照的な役割を果たすというのも面白い(もちろん、「役割」を検証するのは難しいのだが)。