断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

マレーシア2007写真

明日は採集にでかける予定で、その写真を載せることになるので、マレーシアの写真は今日で最後としたい。最後くらい自分の専門を。これもすでに紹介した種の別カット。ヒメサスライアリの一種Aenictus cf. laevicepsの巣にいるWeissflogia rhopalogasterであ…

腐肉に集まるアツバコガネ科の仲間である。多数採集して差し上げたら喜んでいただけたのだが、あまりにも普通にみかけるので、私にとってはつまらない虫の筆頭格である。また、先日大人気で、私も大好きなマンマルコガネ科に近縁とされる(もしくはマンマル…

ネタ切れ間近につき、既に登場した種の別カット。クワガタアリの一種Harpegnathos sp.の脱翅メスである。日記にも書いたが、小松君が執拗といっていいほどまでに捜し求めていたアリで、小松君が帰ったあとに見つけて思わずニンマリしてしまった。いちど働き…

カレハバッタの一種Chorotypus sp.。バッタ目(直翅目)の虫を探そうというとき、明るい草原を歩くと色とりどりの真正のバッタ(バッタ亜目)の仲間が目に付き、暗い林床に入るとこんどはコオロギやキリギリス(キリギリス亜目)の仲間が多くなる。そんなな…

一昨年は東大にいる神保君と今年めでたく徳島の博物館に就職した山田君と3人でマレーシアに行った。神保君が蛾屋なので、毎晩屋台(ライトトラップ)を開いたのだが、そのときに悩まされたのがこのドクガである。山田君は運良く被害を免れたが、最初に神保君…

岩崎卓爾にちなんでイワサキコノハDichrochalia bisaltide。裏面を木の葉に擬態したタテハチョウの仲間で、日本では迷蝶といしてたまに飛来する。岩崎卓爾が最初に日本で見つけたことから、和名にその名を冠している。このようなチョウをその時代に採集して…

糞ふんフンの話。食事中の方は食後30分以上経ってから見てください。 糞虫といえば、多くの人は、古代エジプトでは神聖化され、ファーブルの観察でも有名なスカラベ(Scarabaeus spp.)を思い浮かべるだろう。そして虫が好きな人であれば誰しもその糞玉を転…

もうすこしマンマルコガネで引っ張ってみる。今日は小松君の写真から。一番下の写真のように、夜間はシロアリの巣の壁のなかに潜んでいる。幼虫は巣材を食べ、蛹化も巣材のなかで行われる。寄主は圧倒的にイエシロアリ属Coptotermesの一種が好きなようで、お…

今日は虎の子を出そう。マンマルコガネCeratocanthidaeの仲間である。今回の調査では10種以上、500頭ほど採集した。シロアリの巣に棲むものが多く、一部はクロツヤムシの坑道でも発見される。その名のとおり、丸くなる。丸くなるといっても性格が穏やかにな…

熱帯の土壌から採集できる甲虫で、最も多様性が高く、個体数も多いのは、ハネカクシである。そしてその中でも最も形態的な多様性が著しいものがアリヅカムシ亜科である。大きなものでも4mm止まり、小さなものは1mm程度だが、どれも個性的な姿をしている。写…

よく見ると違う甲虫。3種とも青い体に先端の白い触角というよく似た配色をしているが、実はそれぞれまったく別の科に属する。上段がハムシ(ハムシ科)で、中段がハムシダマシ(ゴミムシダマシ科)、下段がヘリハネムシ(アリモドキ科)である。上のハムシが…

今日は小松君の写真からトンボをまとめて。川沿いの湿った森なので、あちこちにトンボが多い。上のカワトンボの一種Vestalis gracilisで、もっとも普通に見られるトンボ。翅は少し曇った透明なのだが、飛んで太陽光が反射すると青く輝く。普通に撮ると透明な…

草色のきれいなセミDundubia sp.。最初に採集したときにはうれしかったが、毎晩テーブルの明かりに来ては作業を邪魔するので、だんだんと迷惑なセミになってきた。Gombakだけで少なくとも3種は見かけたが、実際にはもっといるだろう。残念ながら、酢酸エチル…

Diatelium wallaceiというデオキノコムシ亜科(ハネカクシ科)の一種。メスは普通のデオキノコムシの姿をしているが、オスは写真のように異常なまでに長い首を持っている。他の甲虫ではオトシブミに似たようなものがおり、それらは首を使ってオス同士が戦う…

今日も小松君の写真。ショウガの新芽にツノアブラムシの仲間Pseudoregma sundanica?(写真上:兵隊)がいて、ツムギアリの保護を受けている。しかし、そのような強力な保護者がいるにもかかわらず、ヨツボシテントウの一種Phymatosternus sp.は悠然とアブラ…

ツムギアリOecophylla smaragdina(上)はかなり攻撃性の高いアリであることから、おそらく鳥などに嫌われるのであろうか、擬態のモデルにされることが多い。良く目につくものでは、クモとハエがある。下の2枚の写真はツムギアリの巣のそばにいるクモで、形…

もう一つ、カマキリの多様性もマレーシアと日本では比べようもない。日本では緑か茶色で似たような形のものばかりだが、マレーシアではランカマキリやカレハカマキリに代表されるように、実にさまざまな姿のカマキリが見られる。写真の種は少し見慣れないも…

フタオシジミ(フタオツバメ?)の一種Hypolycaena amasa maximinianus。今回見たチョウのなかで最も嬉しかったものの一つ。尾状突起の見事なことといったらなく、飛んでいるときにはそれがフワフワとゆれる。表裏の色合いも良く、とくに表面の青黒い前半部…

昨日に引き続きオサムシ科の甲虫を紹介する。今日はヒゲブトオサムシ亜科のPseudozaena sp.。ヒゲブトオサムシ亜科にはMetriini、Ozaenini、Protopaussini、Paussiniの4族が知られていて、和名を反映して「ヒゲブト」なのは全種が好蟻性と考えられるPaussini…

そろそろ自分の写真フォルダのネタが切れてきた。しかし小松君の写真がまだまだあるのでしばらくは大丈夫である。今日は自分の写真を使おう。 クチキゴミムシの一種Morion sp.。ナガゴミムシの仲間である。その名のごとく朽木の樹皮下を主なすみかとしており…

Ulu Gombakには50種以上のカエルがいるそうである。ヒキガエルにも地上性のものから樹上性のものまでいろいろいるらしいが、樹上性のものはいままでに見たことがない。写真のものは体長5センチくらいの地上性の普通種で、Bufo parvusという(最近数種に分か…

チョボクチガエルの一種Kalophrynus palmatissimus。日本のヒメアマガエルに近いもの。樹洞などの小さな水溜りに好んで産卵し、卵から3週間ほどで子ガエルになるそうだ。見た目も愛嬌があるが、声も少しマヌケで、ヒョーヒョーというような妙な声である。英…

小松君の採集品、ゴミアシナガサシガメMyiophanes sp.。日本にいるものと同種かもしれない(日本のを見たことがないのでわからない)。大型のアシナガサシガメで、脚を広げると手のひらの半分くらいの面積がある。写真では見にくいが、脛節は細かい毛に覆わ…

今日は写真が多いのでおやすみです。

シロアリハネカクシ族TrichopseniiniのSchizelythronの一種。羽化後成長する好白蟻性ハネカクシ。写真は成熟個体で、前胸背板の後部が黒く突出、上翅が肥厚し、二股に分かれ、腹部の腹板も大きく成長し、入れ子状となっている。また腹部内で脂肪細胞が成長し…

Ulu Gombakの宿舎へ行くたびに楽しみなのは犬と遊ぶことである。こちらはイスラムなので街中には犬はいないが、郊外に住むオランアスリー(原住民)の人たちは犬を可愛がっていて、宿舎の管理をする人たちがみなオランアスリーなので、宿舎でも犬を飼ってい…

今日の写真は昨日の続きでAgraeusという属のコメツキムシである。上の種は胸部がえぐれていて、中に毛束が生えており、いかにも好蟻性といった姿をしており、その下の種は少し地味だが、それでも変わっている。以上の3種はどれも葉っぱの上に止まっていたも…

採集日記には掲載しきれなかった写真が多数あるので、これから少しずつ紹介したい。 まずはAgraeusという属のコメツキムシ。日本のコメツキムシでいえば、サビキコリの仲間に近い。どれも個性的な姿をしていて、私は好蟻性ではないかと考えている。写真の種…