断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ポカポカ陽気。宿舎の前の花壇にクロナガアリを見つけた。クロナガアリは草原性のアリで、ほぼ完全な種子食である。興味深いことに春と秋だけ出現し、冬はもちろん、夏の間も姿を隠す。このアリが種子を運ぶ姿は、春の訪れを感じさせるものでもあり、また季節が変われば夏の終わりを告げるものでもある。
休日出勤で実験の続き。北大、科博、九大と実験室を移動してきたが、それぞれの実験室に独特の作法や実験のコツがあって興味深い。作法に関しては、こちらの実験室は、三島さんと私しか使っていないので、非常に楽。コンタミしないギリギリの線で気を抜いている。
来週火曜の晩から木曜まで京都に出張することになった。目的は京大博物館の視察。夜は飲み会くらいしかないので、久々に翅を伸ばしてゆっくりできそうだ。

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前日も書いたとおり、今回、生態学会には初めて参加した。会場係りになってしまったことで他人の発表を聞く機会はなかったが、ずらりと並んだポスターやプログラムを見るだけでも、期待通り大変面白い学会であることがわかった。来年からもずっと参加したいと思っている。
特に印象深かったのが、自分と同世代(正確には4−6年下の学年)で生き物を扱っている若手になんと優秀な人の多いこと。ポスドクや研究職の争奪戦には厳しいと思うが、互いに仲良く切磋琢磨している。もう少し早くこういう人たちに出会えればと悔やみもした。
それで思ったのは、主として分類に取り組んでいる学生でも、どんどん生態学会て来て発表すべきではないかということである。こういう優秀な同世代の研究者や、分類系の材料学会に来ないような先生方に出会え発表が聞ける。
分類という多くの種の生き物を扱う研究において、誰もが何かしらの生態学的な情報を抱えているはずである。生態学というのは、都合よく解釈すれば、非常に懐の広い分野で、分類学も形態学や系統学もプラスアルファ工夫すれば生態学といえるようになる。今回のいろいろな人の発表の様子を見て(発表そのものは見ていないが)、そのことを強く感じた。