断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

Otto ScheerpeltzとKarl Hoeflerによる「Kaefer und Pilze(甲虫とキノコ)」。この本には思い出がある。最初に手に入れたのは科博ポスドク1年目で、ドイツの書店から送料・送金料込みで12000円ほどで手に入れた。しばらくしてお金に困って、何か本を売ろうと思ったときに、昆虫書店六本脚でこの本を欲しい人がいることを知った。売ろうと思って問い合わせると、その方は5000円程度で求めているという。当時は12000円でも安いほうだったので、5000円では売れないと思ったが、「京大でキノコに集まる虫を研究している学生さん」と聞きピンと来た。その日に京大のある学生さんが私のところにハネカクシの同定に来ることになっていたのである。早速本人に問い合わせるとそのとおりで、すごい偶然に驚いた。12000円よりは安く譲った。
それから再びこの本が欲しくなり、先日ネットで探したら、なんと5ユーロで売りに出ているではないか。送料込みで15ユーロで、本日到着した。洋書の古本を買い集めていると、ごく稀にこういう幸運がある。
著者の一人、Scheerpeltzはウィーンの博物館に勤めたハネカクシの研究者で、幼いときから一番好きだった昆虫がヒメハネカクシAthetaのなかまだったという筋金入りである。この本ではウィーン周辺の調査地に生息するキノコとそれに集まる甲虫の総説で、Scheerpeltzの手による美しい甲虫とキノコの彩色画が印刷されている。