断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昨晩、昆虫採集を趣味としていた宮崎の女の子が亡くなったとの訃報が届いた。闘病生活をしながら昆虫採集をしている子がいて、昆虫の掲示板をやっているので書き込んで欲しいと友人伝手に話しがあったのが数年前で、それから友人の福富君に話して、少し虫の輪が広がり、それから福富君と一緒にタマムシの短報を書くようなこともあった。
掲示板や日記では、今日はどんな虫を見たとか、どこへ行ったとか、いつも嬉しそうに報告していた。しかし、昆虫採集に出かけることさえもその子にとっては非常に困難なことで、われわれが簡単に野山に出かけるのとは重みが違っていたし、きっと彼女に目に映る虫の美しさも儚さも愛おしさも、われわれとは次元の違うものであっただろう。思い出して悲しかったのは、彼女の日記や書き込みが未来への希望に満ち溢れていたことである。
タマムシの短報はシリグロナカボソタマムシという稀種を九州で初めて発見した記録で、お父さんに背負われて出かけた山で見つけたものだという。百戦錬磨の虫屋さんたちが散々調査して見つからなかったものをそんな彼女が見つけたというのは、神様の贈り物としか思えず、なにか人知の及ばない運命のようなものを感じる。決して大げさではない。
結局、会う機会を得ることはなかったが、同じく虫を愛する人、それもとても若い人が亡くなってしまうのは、本当にこたえた。ご冥福をお祈りします。
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今日は朝から大塚勲さんの書籍の受け入れの見積もりで熊本へ。
夕方、山本周平君が来る。非常に計画的に勉強と研究を進めていて感心した。今年中に分類の論文を書いて、同世代に差をつけるという。