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mahoro.sさんの日記が書いていた内容は私が最近思っていたことに重なるところが大きかった。今一つ文章を書いているが、それをこういった現状に砂粒を投じる方向にしようと決めた。単純に個人個人のナチュラリスト的資質の問題であると思っていたし、今でもそれはあると思う。また、分類学を専門としている研究者が努力を怠っている責任も未だ大きいのかもしれないが、日本の場合は、分類学に関する大学教育が未発達で(大学による)、それが悪循環を招いているようにも感じる。せめて教員くらい人たちの大部分が分類学に関する素養をもっていれば、いまほど日本の分類学は不遇な状況に置かれるまい。そもそも普及に関する努力しないと認められない学問というのも不幸な話しではないだろうか。
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日本生物地理学会誌Biogeography Viol.10で日本のコルリクワガタとその近縁種が整理された(Kubota et al, 2008)。筆者らは日本産ルリクワガタに関する分子系統を進めており、本研究はそれに先駆けた「名前付け」とみなすことができるだろう。[*命名規約に関する記述がありましたが、解釈に再考の余地があり、しばし保留します。関係者の方よろしくおねがいします。]
国内では別のグループもルリクワガタの分子系統に関する研究を進めていて、そちらは汎世界的な材料を扱っているが、どちらの論文が先に出るのか気になるところである。
Kubota et al., 2008の体系(旧「コルリクワガタ」限定)
1.コルリクワガタ Platycerus acuticollis Y. Kurosawa, 1969
(宮城、福島、茨城、栃木、群馬)
2.ユキグニコルリクワガタ P. albisomni Kubota et al., 2008
2−1 ユキグニコルリクワガタ P. albisomni albisomni Kubota et al., 2008
(秋田、山形、福島、新潟、長野)
2−2 チチブコルリクワガタ P. albisomni chichibuensis Kubota et al., 2008
(埼玉、群馬)
3.トウカイコルリクワガタ P. takakuwai Fujita, 1987
3−1 トウカイコルリクワガタ P. takakuwai takakuwai Fujita, 1987
(埼玉、東京、神奈川、静岡、山梨、長野、岐阜、愛知)
3−2 キンキコルリクワガタ P. takakuwai akitai Fujita, 1987
(富山、岐阜、石川、福井、三重、滋賀、奈良、和歌山、大阪、京都、兵庫)
3−3 シコクコルリクワガタ P. takakuwai namedai Fujita, 1987
(香川、徳島、愛媛)
4.ニシコルリクワガタ P. viridicuprus Kubota et al., 2008
4−1 ニシコルリクワガタ P. viridicuprus viridicuprus Kubota et al., 2008
(京都、兵庫、岡山、鳥取、広島、島根、山口)
4−2 キュウシュウコルリクワガタ P. viridicuprus kanadai Kubota et al., 2008
(福岡、大分)