断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

秋に植えたチューリップが咲いた。

細谷さんに借りた「日本産コガネムシ上科図説 第2巻 食葉群I」を学内便で返す。その前に図鑑中で気になったことがあって、命名規約とにらめっこをして調べる。良い図鑑だが、それだけに影響力が大きいので、一つ書いておきたい。
それは日本本土産カブトムシの学名で、この図鑑では「Trypoxylus dichotomus septentrionalis Kono in Kurosawa, 1985」となっている。河野広道の原記載(Kôno, 1931)を読むと、「Trypoxylus dichotomus f. septentrionalis 」として一型であることを明示して記載されており、またPaulian(1945)はこれを亜種として扱っているので、規約上、septentrionalisは亜種としての有効名となる(ICZN 45.6)。よって黒沢(1985)を持ち出すまでもなく、日本本土産カブトムシの学名は「Trypoxylus dichotomus septentrionalis Kôno, 1931」でよい。ちなみにKôno (1931)は岩手産の極小個体に対してこの一型を命名した。
昼過ぎに六本松へ行く。今日を最後に立ち入りが制限されるらしい。目的は標本室に残っている棚で、あとで貰い受けるために貼り紙をしてきた。その他、廃棄と書かれた輸送用標本箱をたくさんもらってきた。帰りに天神の地下で九大熱研卒業生の松下さんとバッタリ会い、近況を報告しあう。

部活棟の前の運動場にはゴミが山積みとなっていた。