断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日は家で用事を済まし、昼ごろから科博へ。13時過ぎに東大農学でヒラタシデムシの系統や生態を調べている池田君がやってきて、彼に自分の持っているシデムシの標本を差し上げた。趣味的に集めたものだが、標本を見ているうちに色々な思い出が浮かび、少し寂しい気もした。

そのあと実験。ヒメサスライアリのハネカクシのDNA抽出をし、PCRにかけたのだが、これが不思議なほどよく増えていた。80パーセントアルコールの新鮮な液浸標本と、少し古い乾燥標本だったが、どちらも長期間低濃度のアルコールに漬けなかったのがよかったようだ。ヒメサスライアリの隠蔽種それぞれに別のハネカクシがいたという話しを以前に書いたが、アリとハネカクシ双方の遺伝的距離を知りたくなった。

また、日曜に採集した大小のクロクサアリもDNA抽出をし、PCRにかけた。あとは配列を読むだけ。しかしながら、もう予算が残り少なく、標本を慎重に選んで、必要最低限の実験をするつもりである。

某研究者から共同研究につながりそうな嬉しい提案が来た。自分の考えていた計画と思い切り重なっていたので、うまく住み分ける必要があるが、お金のない身分にとっては、どんなものであっても助かる。また、共同研究というものには他人の持つ知識や技術を得ることができるという点で、何ものにも替え難い魅力がある。つくばの方なので、こんど会いに行こうと思っている。これからが楽しみだ。