断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昨夜もうるさく、2時過ぎにようやく寝付けた。9時半起床。起きると子供たちが網を持ってチョウを採っていた。聞くところによると、マラヤ大学主催の自然教室のようなものらしい。

今日は日曜なので、子犬の写真を撮ったりし、昼過ぎまでのんびり過ごす。朝から天気と曇りが交互に訪れ、雨が降りそうで降らず、出発の機会をつかめずにいたが、15時過ぎに天気が落ち着いたので、カメラを持って歩道を歩くことにした。一昨日掃除した歩道で足元に注意して歩く。

驚いたことに、宿舎から50メートル程度の場所で、ヒメサスライアリの行列を見つけた。歩道清掃の目的であったAenictus dentatusである。汗を流した甲斐があった。

行列を辿ると、50メートルほど進んだ場所に野営巣らしきものが見つかった。まずは巣を全採りすべく、容器を取りに宿舎へ走る。よい容器が見つからず、仕方なく昨日買ったバケツの上部に油を塗り、再び走る。非常に大きな巣で、約50センチ四方にわたって幼虫の塊が見つかった。

早速、バケツに幼虫とその周辺の土壌を放り込む。一通り採集した後、こんどは念には念を入れて巣の周辺の落ち葉を園芸用篩いで篩う。Dentaphila malayensisという初めて採集するものやDentazyras hirsutusが得られた。どちらも1997年にここを基産地として記載されたハネカクシである。とくに前者は現在の研究に欲しかったもので、とても嬉しい。十分に準備したにもかかわらず、50箇所以上を刺された。この種はA. laevicepsに比べてあまり痛くない。しかしそれにしても、体を張った採集だと思う。他人には頼めない。

18時ごろに宿舎に戻り、バケツの中身を少しずつ篩ってハネカクシを探す。Tobiisimaという属の3新種や3年前に採集した新属新種も得られ、その数は合計80頭にのぼった。その他、巨大なシミやアリの背中に乗るダニなども得られた。あとで気付いたのだが、Tobiisimaの微小なハネカクシはアリの幼虫に便乗するようで、アリの幼虫を運ぶ成虫を採集した液浸標本中にも複数見出すことができた。分子用と形態用の材料を分け、20時過ぎに作業終了。

21時から雷鳴と大雨。しかし気分は良い。今日はゆっくりと眠れそうだ。