断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昨日は2時過ぎまでロスリーさんとダイクスさんと小松君の写真を肴に話し込んでいた。小松君の写真は相当喜んでもらえたようだ。甲虫に関してそれぞれの科名などを説明した。寝る前に枕元にオオミツバチが飛来。ヘッドライトで叩くと、少し埃っぽいような花の香りがした。

今朝は7時半に起き、3人でSri Gombakまで朝食を食べに行く。Mee sup(スープ麺)というごく一般的な朝食である。今日からマレーシアで新聞が値上げしたとのこと。

宿舎に戻ったあと、小松君の写真の番号と分類群名の対応表を作る。昼前に作り終わり、少しうとうとする。今日から別のセミナーの一陣がやってきていて、外は少々騒がしい。

昼過ぎに森へ出る。くまなく3時間ほど歩道を見てまわるが、新しいヒメサスライアリは見つからなかった。まだ見たい種もあるが、いままでの成果で十分とも思う。

16時前に昨日のヒメサスライアリの野営巣を採集にでかける。刺されるのにも厭きたので、今回は採集をやめにしようと思っていたが、幼虫の標本が足りなかった。今日はバケツの周囲にフルオンを塗った。野営巣の落ち葉をめくると、巨大ともいえる幼虫の塊があり、いつものようにそれを急いでバケツへ放り込む。

今日も散々に刺された。極めつけは目頭の一発で、痛さに思わず眼鏡を放り投げ、蝶番を曲げてしまった。今回は少なく見積もっても1000箇所以上はヒメサスライアリに刺されたが、やっぱりこの種が一番痛い。痛いといっても、巣を採集する成果は何物にも代えがたい。

酢酸エチルで麻酔したのち、宿舎へ戻る。目算で幼虫を数えつつ、蟻客を探すが、ハネカクシ2種3頭、Vestigipoda3頭のみだった。やはり昨日の行列の観察で十分に拾えていたようだった。

シャツを脱いだときにヘソの近くが痛むと思ったら、2頭のダニが食い込んでいた。1頭は膨れていたので、ピンセットでつまんで採集した。もう1頭はまだ小さく、誤って潰してしまった。4年前にここに来たときにもやられたのだが、1.5ミリ程度の小型種ながら、非常に痛みが強く、付かれた周辺が1ヶ月程度赤く腫れる。個人的にゲキツウダニと呼んでいて、大事なところに付かれたものを外すときにはあまりの痛さに男泣きに泣いたものだた。

夕方にヌルさんとアシスタントの男の人2名が来る。夜から一緒に採集に出ようということで、こちらは夕飯に出かける。なかなか豪勢な食事をいただいたが、今日も支払う機会を得ず。

ヌルさんたちを最初に私の見つけた巣へ案内する。手つきがまだ拙く、みつけてもうまく採集できないばかりが、ヴェール(purdah)トゲのある椰子に引っかかったりもし、まだ野外に慣れていないようだ。それもそのはず、今日初めて生きたAnochetusを見たそうだ。その後、もう一つ別種を追加し、ヌルさんは22時ごろに家路についた。

最初の木で何気なく木の幹を眺めていたら、樹皮が動いた。よく見たらフサヒゲサシガメではないか。クワガタアリと並び、小松君が一所懸命に探していたものである。

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シャワーを浴びながら追加のダニを探すと、股間の半径10センチ以内にさらに4頭がついていた。触るとヒリヒリと痛い。採集して山内君に本来の寄主を尋ねよう。いままで同行者で寄生された人を知らないので、他の人の痛みがどうなのか気になる。おそらく同じ場所の地面に長い時間寝転がるときに取り付かれるのだろう。