断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

【書名】 潜水調査船が観た深海生物 深海生物研究の現在
【著者名】 藤倉克則・奥谷喬司・丸山 正
【出版社】 東海大学出版協会
【発行日】 2008年2月20日(第1刷)
【ISBN】 978-4-486-01787-5
【価格】 定価6800円(+税)
【判・頁】 A4判/487頁
深海生物学の概論から研究法、研究の現在までをわかりやすく網羅的に紹介している。見所はなんといっても、多くの割合を占める「深海生物図鑑」といってもよい部分で、深海にすむあらゆる動物(マクロベントス以上)の生態写真と解説である。すべてカラーで、奇妙奇天烈な深海生物の姿かたちを余すところなく紹介している。深海生物学の概論部分を読むのも楽しいが、写真集的ぱらぱらとめくって深海生物の写真を眺める価値もある。はっきりいってこれで6800円は安すぎる。

潜水調査船が観た深海生物―深海生物研究の現在

潜水調査船が観た深海生物―深海生物研究の現在

こういう素晴らしい解説書を目の当たりすると、深海生物の研究に興味を持つ若手も現れるのではないだろうかと思う。生物多様性といえば、熱帯雨林もまだまだ調べられていないところが多くあり、人の手が届かずに多くの多様性が隠されているという点で、例えば樹冠環境などは深海に共通するものがある。熱帯の陸上生態系でも、本書のように写真が豊富で小難しくない解説書があるといいと思った。