断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

午前中はヒメサスライアリの雄のDNA抽出作業。34個体もあると結構疲れる。
午後から多々良川へ向かう。Goodayというホームセンターで湿地保全研の木下さんと待ち合わせ。大学から15分のつもりが5分で着いてしまったので、とりあえず野菜の苗を見る。先日ご教示いただいた連作障害防止効果のある接木トマトが売っていた!
13時半に干潟に到着。初めて来るのだが、なかなか良い感じの環境で、カニの密度が非常に高い。とくにヤマトオサガニの数はすごく、ホウロクシギが良く来るのもわかる。虫はまだ少なく、最後にようやく干潟の上を歩くナギサハネカクシの一種Bryothinusa sp.を1頭みつけた。いるということが確認できてよかった。
午後は細石君とシリアゲアリのシーケンスデータを吸出し、配列決定の作業をしてもらう。その間、私はヒメサスライアリの雄の交尾器(DNAを抽出したもの)の封入と観察。34個体はなんと15種にも分類できた。微妙な違いではなく、全然かたちの違う別種というのが交尾器でわかる。久々に形態で興奮する、なんとも楽しい作業だった。
ちなみに15種のうち、1頭しか採れていないものが6種もあって、残りのほとんどは2頭だった。マンマルコガネでも経験したのだが、同属種を多数採集して、数種が優占、残りの複数種は珍品というのは熱帯の昆虫多様性の法則かもしれない。今回はトイレの明かりに来たものを片手間に採集したのだが、ライトトラップをして本格的に採集したら面白い成果が上がるに違いない。
写真はAenictus gracilisの雄。