断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

展示の準備。昆虫学会要旨の見直し。先週末から100回は声に出して読んで、てにをはや漢字も練りに練った。要旨は発表の直前あるいは発表が始まってすぐに読まれることが多い。とくに初日の発表では確実にそうなる。そういう状況をふまえ、すぐに読めて簡単に頭に入る文章でなければならない。500−600字という制限では、読者に最低限の知識が求められるが、できるだけその負担を少なくする必要もある。実際に書くとなるとかなり難しいものである。
ところで、毎年要旨を読んで気になるのは、演題に副題を使っているものである。これは完全に私見だが、副題を使うなんてのは最低なことで、思考停止の産物である。たしかに印象に残る表現にその発表の具体的な内容を示す副題を書くというのは、非常に簡単でお手軽である。しかし多くの場合、読んでいる側は一瞬の思考を強いられる。場合によってはつまならい表現に白けてしまう。ささっと読んで気になるものを拾う要旨集やプログラムでは、頭から読んで素直に意味がわかるものが適切ではないだろうか。一文でまっすぐに書くというのは、意外と難しく、技量が求められるが、それで的を得た演題というのは、とても印象がよい。