城計画6 畑作戦
家庭菜園は究極の園芸趣味の一つだと思う。単純に食べる目的でやっている人は多くないはずだ。それなら八百屋でやった方が安くつく。野菜を作るのは基本的に難しい。野菜によっては簡単にできるにはできるけど、立派なものをたくさん作るのには大きな壁があり、かなりの高等技術である。良いものが出来たときは、それを美しいと思う瞬間もある。これを園芸と言わずになんと言おうか。
それはさておき、2008年に九大に赴任して、官舎に住み始めてから、その中庭にある花壇で家庭菜園を始めた。子供の頃から植物を育てるのが好きだったので、これで思い切りできると嬉しかった。
それから2015年に中央区の桜坂に引っ越して、思い切りやろうと、西区の今宿上原にあるJAの菜園を借りた。50平米ほどあって、広大である。機械なしに作業できる限界の広さに近い。
ここでの作業は楽しかったのだが、問題は遠いことである。車で自宅から30分以上かかるし、忙しい時には数週間も行けない。夏場は、久しぶりに行くと雑草でジャングルのようになっていたし、ナスのように水を必要かとするものはうまくいかない。そもそも、オクラやズッキーニのような果実の成長の早い野菜は収穫がまともに出来ない。さらに、直播の野菜については、頻繁に水をやりに行けずに発芽に失敗することも多かった。
また、その畑は水田跡の粘土質で、土が重いうえに水はけも悪く、毎年大量の堆肥を混ぜても、土作りには限界があった。
いつしか庭で家庭菜園ができたらと夢想した。庭にあれば毎日世話や収穫ができる。もちろん水やりもできる。今回、家を選ぶ際、家庭菜園ができることも重要な条件とした。
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はたして購入した家には、庭の拡張後に、南向きに80平米ほどの庭ができた。15平米はサンルームの基礎に使ってしまったが、約50平米は純粋に畑に使える。
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庭の拡張の際に土が足りなくなったので、家庭菜園にも使えるという真砂土を買って、補充した。2トンほどで18000円だった。本当は黒土が欲しかったのだが、福岡近郊で採れるところがなくなっており、鹿児島から仕入れるそうで、造園屋さんに真砂土で充分だと言われた。粘土よりはるかにマシである。ダンプで駐車場に下ろしてもらったのだが、何しろ2トン。これをスコップで庭に入れるのが大変だった。
次にホームセンターに通って、40リットルの堆肥を15袋ほど買って、苦土石灰とともに土に混ぜ込んだ。これは少しずつ進めた。この作業はスコップとクワだけではとても無理。いろいろ調べて買ったリョービの電動耕運機が多いに役立った。かなり馬力があって、あっという間に終わる。エンジン式だと音がうるさくて、住宅地には向かないのでこれにしたが、とても静かで、正解だった。ただし、この駆動中の機械を支えるのにかなりの腕力が必要。この際、土の中から、たくさんのチガヤの茎が出てきた。厄介な雑草なので、できる限り丁寧に取り除いた。
実は引っ越し時がタマネギの植え付け時期だったので、もともと土のあった場所に畝を3つだけ作って、急いで植えていた。それから忙しくて時間が空いたが、つい先日、天気の日を狙い、残りの畝を急いで作った。なかなか良い土になり、堆肥と新しい真砂土の相性も良い。引っ越し時にポットに種を蒔いたソラマメも植え付けた。これから他の野菜を植えるのも楽しみだ。
畝ごとに杭を打ち込んだが、これは水やりの際にホースで苗を傷つけないためのものである。
果樹の苗も植えたが、その話は次に。