断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

7時半起床。洗濯と標本整理の後、9時半にロッジを出る。食堂へ向かう途中、運転手さんがヘビを見つけて車を止めてくれた。小松君が狂喜して車から飛び降りた。ムチヘビの一種Ahaetulla prasima(?)である。

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遅めの朝食。ナマズとゴーヤを辛く炒めたものと豚肉のカレーをかけたごはん。

食後に自前のトラップを仕掛けにビジターセンターの裏の歩道へ行く。ワタナさんはついでに土壌のコドラート採集。

仕掛け終わって帰り道の歩道にヒメサスライアリの行列を見つける(Ae9)。26日の朝に小松君が見つけたものと同じ種である。どうやら樹上で捕食する種のようで、ラタンヤシの藪のなかを縦横無尽に行列が交差している。片山君が池の上にある小島へ渡ってくれたりし、3人がかりで2時間ほど行列を追うが、結局、大事なところが藪のなかへ続いており、働きアリの採集にとどまった。

そのまま昼食をとる。おなかが空いていないので、私は豚肉のスープとソムタムだけにした。

午後はTwin Treeへ土壌の採集に行く。私はまずはシロアリの巣で見つかった正体不明の昆虫(甲虫らしきもの)の追加採集をする。先日崩し残した営巣木が残っており、20頭ほど採集することができた。生かしてしばらく観察したい。

その後、片山君の土壌採集の手伝いに。マンゴスチンに似た実が大量に落ちて腐敗している場所があり、その実を割ると多数のハネカクシやケシキスイが見つかったというので、その周辺の土壌を徹底的に篩う。いろいろ採れていそうで楽しみだ。

車へ戻ると小松君がハシリハリアリの移動行軍からハネカクシを採集したハネカクシを見せてくれた。別のWroughtonilla属の新種である。

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15時ごろにHeaw Suwatへ移動する。土曜とあって観光客でにぎわっている。それらを横目に滝つぼへ降り、周辺のゴミをさらってゴミムシを探す。残念ながら少々のミズギワゴミムシ類が採れた程度だった。

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帰り際、小松君がヒメサスライアリの行列を見つけた(Ae10)。今朝のものと同種である。きっと普通種なのだろう。残念ながら仮巣を見つけたときに時間切れ(食堂の閉まる時間)となってしまい、後ろ髪を引かれる思いで巣を後にする。

夕食は鶏肉のカレーとサバヒーの唐揚げ。それに豆腐のスープ。

いつものように食後は食堂の周辺へ。朝の行列を見に行くと影も形もなかった。地衣を収穫するコウグンシロアリの立派な行列があり、それを小松君と観察する。小松君が大型の変ったノミバエを採集した。

行軍の前に小さなカエルMicryletta inornataが陣取ってシロアリをパクパク食べていたのだが、そこへナミヘビ(キールバックの仲間)が来てそのカエルを飲み込んでしまった。目の前で教科書的な食物連鎖の世界が繰り広げられた。

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そうしていると片山君がヒメサスライアリを見つけたと呼びに来てくれた。駆けつける途中に小型のヒメサスライアリの巣を見つけて採集(Ae11)。到着すると26日に片山君が見つけてくれたものと同種と思われるものが、ちょうど移動を開始していた(Ae12)。もう帰宅時間に近づいていたが、滅多にない機会なので、ワタナさんたちに少し待っていただき、22時間で採集を続けることにした。

光に敏感で観察が難しかったが、どうにかVestigipodaを見つけ出したり、幼虫に便乗しているAenictoxenus属のハネカクシを見つけたりすることができた。この種は間違いなく樹上性だが、女王はその生態に適応するように脚が非常に長かった。

22時半にロッジへ戻った後、小松君が油をまいてサスライアリの一種Dorylus vishnuiを集めている場所を見に行く。調子よく集まっていた。蟻客に期待したい。

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標本整理の後、1時半に就寝。今日は最後のヒメサスライアリ観察中にずいぶんとヒルにやられてしまい、しかもヒメサスライアリにも刺された。