断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日は朝からバリに移動。朝4時半に起き、6時のバスに駆け込み乗車し、空港に着いたのは7時半だった。9時の飛行機でデンパサールに向かい、デンパサール空港からは、タクシーでそのまま植物園に行く。植物園は標高1300メートルの位置にあり、標高が上がるにつれ雲行きが怪しくなり、途中から大雨になった。また、平地に比べた涼しさは、まさに天と地の差である。

植物園はよく管理された巨大な庭園といった感じで、周囲には広大な自然林が広がる。宿舎はすばらしく、高級リゾートホテル並の部屋である。天井の高い30畳ほどのコテージに、広いベッドが2つあり、大型テレビもついている。

このあたりは普段から雨の多い気候のようで、あちこちが苔むし、地衣に覆われている。いわゆる雲霧林である。このような環境は採集が難しい。そんななか、澤田さんが地衣類にそっくりなカマキリを見つけてくれた。

一休みしたところで雨がやみ、糞虫やシデムシを狙って、腐肉トラップを設置することにした。実は今回、腐肉はボゴールから持参した。数日前にカホノさんに頼んでニワトリを一羽解体してもらい、それをタッパーに入れて熟成させてきたのだ。途中、タッパーから臭いが漏れてしまったのには困った。宿舎から少し歩くと美しい高木林があり、5箇所に腐肉を設置した。一応、針金で木に縛っておいたが、動物に持っていかれないか不安だ。

夕飯は宿舎の人が買ってきてくれたヤギのサテーと野菜炒めだった。宿舎の東屋で明日の予定などを相談しながら食べた。

一休みし、トラップを見回ることにする。不安は的中し、5つの腐肉トラップのすべてがなくなっていた。トラップのそばに犬の足跡があった。残念だったが、強烈な臭いを放っていたあんなものをよく食べたものだと、少し感心した。気がつくと、宿舎の付近で犬が吼えていた。

夜は昼間のカマキリをさがす。宿舎の塀が地衣類に覆われていて、そこを懐中電灯で照らすと、すぐに数頭が見つかった。見つかるところは必ず白い地衣で密に覆われている部分で、そこを見ると効率的に見つけることができる。結局、卵から成虫まで、全ステージを見ることができた。面白いのは雌が卵嚢を保護することで、卵嚢を見つけると、そばに雌が静止しているのも必ず見つかった。

写真はその地衣類擬態のカマキリ。