断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

朝起きると、9時過ぎ。みんな疲れて起きてこない。寝ぼけ眼で食堂へ行くと、小松君が走ってきて、ヒメサスライアリを見つけたという。状況からして目的のツヤヒメサスライアリだ。ビーフンをかきこみ、急いでその場所へ向かう。マンションの庭のような場所で、よく見つけたと驚いた。予想通りツヤヒメサスライアリで、ちょうどオオトゲハリアリDiacamma sp.とトゲアリPolyrhachis sp.を狩っているところだった。そこで数時間かけて野営地を探すが、結局見つからず。夕方に出直すことにした。

小松君と藤原さんと細石君と昼食をとり、Bishop trailへ向かう。途中、また小松君がツヤヒメサスライアリを見つけた。こんどは崖の下に野営地がありそうで、諦めざるをえなかった。脚の長いオオズアリの一種Pheidole longipesを襲っていた。このヒメサスライアリはかなり広い分類群のアリを食べるようだ。樹皮を剥がすと、ヒゲブトアリの一種Rhopalomastix sp.の巨大なコロニーが見つかったので、ちょっとだけ採集。

小林さんの人糞トラップを忘れたので、ホテルへ引き返す。休むついでに原稿書きを進める。昨日書いた部分をかなり削除して書き足した。

Bishop trailで2ヶ所に糞虫用のトラップを仕掛け、こんどは昨日ヨコヅナアリが来ていた場所に行く。行列を篩うと、好蟻性ハネカクシの仲間Pheidoloxenus spp.が4種30頭ほど採集できた。以前にCameron Highlandsで同じような採集をしたが、そのときにはわずかな個体しか得られなかったので、これには助かった。

18時に食堂に集合し、マレー料理を食べる。小松君が最初に見つけたツヤヒメサスライアリが移住を開始したとのことで、急いで見に行く。幼虫を抱えたアリが藪の中へと向かっており、道路わきの側溝にできた行列を観察し、ハネカクシを採集することにした。まずは行列を眺めること1時間、ようやく最初のハネカクシがやってきた。Aenictobia thoiという種で、半島産は見たことがないので嬉しい。しばらくすると、こんどはMimaenictus wilsoniというアリ擬態のハネカクシがやってきて、小松君が見事な写真を撮ってくれた。この種は本当に嬉しい。目標の種の一つだ。続いてAenictobia thoiが数頭現れ、その次にはなんとツヤヒメサスライアリの女王がやってきた。撮影後に採集する。Mimaenictus wilsoniの追加を期待したが、結局やってこず、23時に移住行軍は終了した。4時間は行列を眺めたことになるが、少し疲れた。

写真:ヒゲブトアリ。