断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

毎週恒例の採集へ。今日はPalos Forest Preserve。タロー君と10時に駅で待ち合わせし、現地のバス停には11時半に着いた。今日は朝から晴天だが、気温は25度程度と涼しくて気持ちよい。

最初に先々週に見つけた鹿の死体を森へ運ぶことにした。すでに肉は分解され、カツオブシムシDermestes sp.が発生していた。幸い、乾燥のために皮の半分と脚はきれいに残っており、狙いのコブスジコガネには使えそうだ。運んでみると結構重く、強烈に香ばしい臭いが鼻をかすめる。そこから30分ほど歩いてようやく森のなかへ安置した。すでに疲れてしまった。

次に1ヶ月前に発見したオオチャイロハナムグリOsmoderma eremicolaの「巣」を見に行く。掘り返してみるが、すでに出てしまっていたようで、メス3頭とオス1頭が残っているだけだった。来年成虫になるであろう幼虫を持ち帰る。幼虫には3つの成長段階が見られ、どうやらここでは3年かけて成虫になるようだ(日本は2年だそうだ)。

ジュウシチネンゼミはもう終わりかけで、鳴き声はまばら、地面に多くの死体がある。その代わり、毎年発生する別のセミを見つけた。Tibicen linnei(?)といい、日本のエゾゼミと同属である。色彩はまったく違うが、形は似ている。アメリカには50種近いエゾゼミの仲間がおり、赤いやら黒いのやらいろいろである。

f:id:maruyamana:20070630140940j:image

鹿の糞にちょっとかっこいい糞虫。Onthophagus orpheusである。緑色の金属光沢のある胸部に二又の角があり、それが前方に突き出ている。

f:id:maruyamana:20070630130649j:image

今日も珍しいカミキリStenocorus schaumiの追加を探すが、時期が終わってしまったようだ。ようやく見つけたと思ったら、同属の別種だった。おそらくS. cinnamopterus

f:id:maruyamana:20070630141203j:image

昼食後、何気なくぶらぶらしていたら、枯れ木の樹皮下にミヤマクワガタの一種Lucanus capreolusを見つけた。先日、マーガレットさんが採集しており、自分でも見てみたいと思っていたので、少しうれしい。つやつやでがっちりしており、かっこいい。この後タロー君が必死に探していた。

f:id:maruyamana:20070630161620j:image

今日は土曜なので終バスが早いが、ホタルを探すべくぎりぎりまで森を歩く。19時半くらいにようやく薄暗くなり始め、ホタルが草の上に出てき始めた。いちばん多いのはPhotinusという属のもので、博物館のまわりにたくさんいるものと同じである(Phaturisというのは誤りであった)。上はオス、下はメスで、メスはストロボに反応し、腹部をこちらに向けた。おそらくストロボをオスの発光と勘違いし、合図を送ったのだろう。

f:id:maruyamana:20070630192353j:image

f:id:maruyamana:20070630192553j:image

よくみるとPhotinusに混じって、脚の長い大型のホタルがいる。これがPhoturisである。Photinusのメスの発光パターンを真似て、近づいてきたPhotinusのオスを捕食するというすごいホタルである。瓶のなかに両者を一緒に入れたところ、一瞬でPhotinusが襲われ、バリバリと頭から食われてしまった。

f:id:maruyamana:20070630191855j:image

20:25のバスに乗らなくてはならない。ホタルの乱舞が始まるのを目前に、後ろ髪を引かれる思いで森をあとにした。