断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

巨頭のハネカクシStrabocephalium sp.。先日の旅行で採集したもので、マレー半島初記録の属となる。新属はたまに採れるが、こういう珍奇な属の初記録のほうがうれしい。平地の比較的都市近郊で、こんなものが見つかっていなかったなんて、驚きである。体長は5ミリ程度。
この属はOrphnebiusという属にごく近縁で、おそらくその同物異名とすべき関係にある。巨頭のみを特徴としてOrphnebiusと区別されている。Orphnebius属の種は、自分の体の数倍の大きさのアリを襲って食べる。多少とも弱ったアリを狙い、非常に巧みな狩りを行い、逆襲されることなく餌とする。
おそらくこのハネカクシは、さらに大型のアリを襲うために強い大顎の力を持つことになり、巨頭化していったものと私は想像している。いったいどんなアリと関係しているのだろうか。ボルネオでは普通に採れるので、一度いろいろなアリを差し向けて観察してみたい。ちなみにこれをアリ擬態としている人もいるが、それはちょと疑問で、巨頭化のような頭部形態の変化はそんなに軽々しいものではない。