断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

8時ごろ、朝食のラーメンを作っていたら、小松君が走って「ヒメサスライアリいました!」と走ってきた。小松君は夜明けともに起き、虫を探して歩き回り、鋭い目でいろいろと良いものを見つけてきてくれる。

朝食も早々に、急いでその場所へ行く。橋のたもとに確かに行列がある。ケブカヒメサスライアリAenictus gracilisだ。数十分観察するが、どうしても野営地にたどり着かない。行列はあちこちに延び、その一つ一つをたどるのだが、一時的な餌の貯蔵庫ばかり。なお、餌の構成は、Technomyrmex、Paratrechina、Pseudolasiusで、 Technomyrmex が多かった。

行列の一つが橋の下側を伝って、その先へ伸びている。念のために橋の対岸へ見に行くが、行列は切れている。しばらくして小松君が「橋の途中にものすごい密度でいるところがあります」というので、行ってみると、たしかにたくさんいる。橋は朽ちかけ、シダが茂り、あちこち木切れで補修してあるのだが、その木切れの下に野営地はあった。野営地を篩いにかけると、1頭だけだったが、Trichotobia gracilisという、ここを基産地とする採集例の非常に少ないハネカクシを採集することができた。篩いをかけている最中に、あたりまえだが、100箇所近くを刺された。

次に女王アリを求めて小松君と二人で探す。あきらめかけたとき、ふと橋の裏側を覗くと、野営地から逃げる行列の一部に幅2センチ程度のアリの塊があり、そこに職アリに覆われた女王の姿を見つけることができた。採集して撮影の後、残るアリには申し訳ないが、液浸標本にさせてもらった。

昼食後に小松君がトビトカゲを捕まえてきたので、みんなで空に放り投げ、飛ばして遊ぶ。片山君が空を飛ぶ決定的瞬間を写真に収めることに成功した。

その後もヒメサスライアリを探して歩き回るが、成果はなかった。ヒメサスライアリは探しやすい場所とそうでない場所があり、Gombakは比較的探しにくい場所のようだ。

夕飯は野菜炒め3品とサツマイモの炊き込みご飯を作った。みんな打ち解けてきて、食事中に笑いが絶えない。

食後もヒメサスライアリを探して歩き回るが、結局見つからず。ホタルがきれいな夜だった。明日からBukit Fraserへ移動なので、Rosliさんが宿舎へ泊まりに来てくださり、今後の予定などを相談した。また、参加者の成果などを気遣ってくださっていた。1時近くに就寝。

写真:ケブカヒメアスライアリの女王。