断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「ナチュラルヒストリーの時間」が届いた。25話からなり、個人的には動植物の話しが多くを占めるのが嬉しかった。軽く読み流してみたが、短い文章に著者の考えや研究の一端が見てとれ、薄い本ながら内容は相当に濃縮されている印象がある。厚さの割には少し高い気もするが、内容からすればむしろお買い得といえよう。普通の書店では手に入らないうえ、発行部数も限られているので、早めの購入をおすすめする。以前にジュンク堂だけと言ったが、昆虫文献六本脚でも購入できる。

http://kawamo.co.jp/roppon-ashi/sub034.htm

ところで執筆要綱(図を含め4ページ、参考文献は5つ以内)を私は苦労して厳守したのだが、ほとんど守っている人がいなかった。字数に追われずに書けばもう少しマシな文章になったかもしれないと思うと悔やまれる。

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都立大の宇津木君のためにムシヒキアブを採集し始めた。虫が少ないので目に映る飛ぶ虫はすべてじっくり見ることになるのだが、そのなかにはムシヒキアブが少なくなく、放っておくには惜しいと思ったからである。

ところで一昨日はこのハエに2回だまされた。かなり大きく、30mmくらいある。まず、陽だまりに飛ぶ姿に、「ああ、ベッコウバチか」と思って様子を見ていると、どうもベッコウバチとは雰囲気が違う。葉の上に止まった姿を見て、「あ、だまされた。ムシヒキアブだ」と、慌てて掬った。しかし毒瓶に入れてじっくり見ると、どうもムシヒキアブとも違う。触角が妙に長いし、翅脈も変わっている。帰ったらタロー君からメールが来ていた。ムシヒキアブモドキ科MydidaeのMydas clavatusだと思いますとのこと。たしかにそうらしい。調べると日本では1種の記録があるのみの小さな科で、系統的にはムシヒキアブと姉妹群になるようだ。変なハエがいるものである。

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