断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

毎年通っているUlu Gombakではすでに10万頭を超えるハネカクシを採集しているが、未だ1頭しか採集していない種も少なくない。このTurgiditarsus ledangensis (Schillhammer, 1996)もその一つで、これまでに1頭を見たのみである。また、属レベルでTurgiditarsusは世界から4頭の標本しか知られていない。珍品であることもさることながら、形態も異様である。前脚のフ節が大きく膨らんでいる。雄が雌を把握する器官であれば話しは早いが、そうではなく、雄雌同型である。おそらく樹上性だが、いったいどのような暮らしをしているのであろうか。おそらく何か特別な微環境に生息し、何か特別なものを捕食しているに違いない。珍奇で珍品、最高の虫である。たぶん、これから20万、30万とハネカクシを採集していくと、さらに「1頭しか採れていない種」の数は増えるのだろう。